2012-01-09

「愛着」という補助線 - 書評 - 愛着障害 子ども時代を引きずる人々


偉大な業績をあげたスティーブ・ジョブズ、彼女に貢がせて暴力をふるうホスト、彼氏に依存する彼女…。僕は彼らと出会う際に、好悪や善悪の判断よりもまずは「どうやってそうなったんだろう」と不思議に思います。

スティーブ・ジョブズはなぜ偉大な業績をあげたのでしょうか。偉大な業績をあげないとやってられない心の穴があったことは事実でしょうけど、何があってそんな穴が空いたのでしょうか。
同様に、彼女にひどい仕打ちをするホスト、あるいは彼氏に依存する彼女は、どういう経緯でそうなったのでしょうか。

本書を読むと、以下のことが分かります。「『愛着』という補助線を引くことで、個々の人間をより良く把握出来る」。

生後6ヶ月〜2歳の子どもは、生命の安全をはかるため、母親を始めとした養育者を追い求めます。これが愛着です。
愛着に対する養育者の反応は、以下の通り幼児の愛着スタイルを決定します。まずは養育者に恵まれ愛着形成に問題のなかった「安定型」と、そうでない「不安定型」に分かれます。さらに不安定型は、「回避型」、「抵抗/両価型」、「混乱型」に分類することが可能です。

多くの人間にとってこのことが重要なのは、「子どもの頃に形成された愛着スタイルは、大人になってからも人格に多大な影響を与える」かつ、「成人でも三分の一くらいの人が(愛着障害と呼ぶほど重篤ではないが)不安定型の愛着スタイルを持ち、対人関係に悪影響を与えたり精神的な問題を抱えやすくなる」からです。

また悪影響ばかりではなく、愛着の問題が文学作品への創造性に繋がったヘミングウェイ、宗教的/政治的指導力に繋がった釈迦やバラク・オバマ、ビジネス的成功に繋がったスティーブ・ジョブズなどがいます。

彼らの養育環境とその後の人格的傾向をみると、愛着がいかに人間の根源的な欲求で、人格に影響を及ぼすかが理解出来ます。換言すると、愛着は人間を理解するツールとして有用であると言えます。


愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)
岡田 尊司
光文社 (2011-09-16)
売り上げランキング: 1013


巻末にテストがあります。
「安定型スコア」「不安型スコア」「回避型スコア」を測定するもので、僕は「安定—回避型」(愛着回避の傾向がみられるが、全体には安定したタイプ)でした。安定型のスコアが最も高いのですが、不安型のスコアがゼロで、非安定型の要素は全て回避型(淡々としたタイプ)になっています。

高校に行かずにひきこもりをしていた回避型MAXの時期や、就職活動の面接にて「SPIで共感性ゼロの人間を初めてみた」と言われた時期からすると、せめて安定型なだけでもましになったかと思います。
ただ、今でもたまに「なぜお前はそうなんだ」という根源的な問いを発せられることが多いので、深堀りしてみたい話題です。
養育環境は割と普通だと思うのですが。

0 comments:

コメントを投稿

人気の投稿